スピン角運動量
スピン角運動量演算子も軌道角運動量の演算子と同じ交換関係を満たします。
なので軌道角運動量の結論は全てそのまま当てはめる事が出来ます。合成スピン演算子
ここで複数のスピンを合成する事を考えます*1。二つのスピンの基底ケットは1番目のスピンの固有ケットで張られる空間と、2番目のスピンの固有ケットで張られる空間の直積空間で表される。つまり
と表される。1番目の1は2番目のスピン空間内の恒等演算子です。全体のスピン演算子はと書かれます。これらはそれぞれの様に書かれるのが普通です。3重項-1重項表示
上の表示法ではそれぞれのスピンの状態を指定する事で全体の状態を指定していました。この3重項-1重項表示では全スピンとz方向のスピンを指定する事で全体の状態を表します。具体的には、全スピンが1でz方向のスピンも1となるall upの状態は
と書けます。これにをかけていくとが得られます。更にと直交する状態としてが得られます。これらの初めの3つを3重項状態(triplet state)、最後の1つを1重項状態(singlet state)と呼びます。