色の見え方

良く有る色盲かどうかの検査

人と見える色が違う。そう聞くと"色盲色弱*1"を思い浮かべるだろうか。良く運転免許を取得する際などに様々な色の水玉の集まりの絵があり、その中の文字を読み取る事で色盲かどうかを判定するテストがある*2。また色弱の知人が居たのですぐに思い付いた。しかし、人と異なる色を知覚する人は色盲だけでは無い。

多くの人間は赤・青・黄の3色の錐体細胞を持つ3色型色覚である。まれに赤・青・緑に加えて黄の錐体細胞を持った4色型色覚の人が居る。爬虫類や鳥類の一部の種は4色型色覚であると考えられているが、ヒトにもまれに居る事が分かってきたそうだ。しかし不思議な事に、現在までの研究によれば女性しか発見されていないそうだ。

あるテレビ番組で4色型色覚の母と2色型色覚(緑の錐体細胞の働きが欠損している)の父から3色型色覚(多くの人はこの型)の息子と変則的3色型色覚(緑は欠損しているが母親の黄の錐体細胞を受け継いでいる)の娘が生まれた家族が紹介された。この家族は4人とも全く異なる色の世界を見ている事になる。"物の見え方"と言う漠然とした言い方では見る人によって千差万別で有る事は言うまでもないが、色に関して言えばこの家族ほどはっきりと異なる事も無いだろう。
4色型色覚の持ち主はそうでない人に比べて100倍程の色を知覚出来る。普通の人には違いが分から無くても、彼女らには違いが分かってしまう。まさにこれこそが産まれながらに持った天性の才能と言えるのではないかと思うのだが、実生活においては色の感覚を他人に伝えられずに困る事も有るそうだ。秀でた能力が社会の中に必ずしも溶け込まない事も表している様だ。

4色型色覚の感覚を3色型の人に伝える事も、3色型の人が理解する事も、多分出来ないだろう。色に限らず知覚の異なる人の感覚を他人に伝える事、理解する事は非常に難しい。知覚を共有する事が出来ないのであれば、想像力を働かせて理解しようと努力する事しか出来ないだろう。

参考

*1:色覚異常の一つだが"異常"と言う程異常な事では無い。日本人男性で5%程度居るらしいのでそう珍しくも無い。

*2:色覚異常が認められると大きな3色のブロックの色を見分けられるか試験し、それが分かれば運転免許は取得出来るそうです。