ケーブルの種類と構造

今日はもうひとつ、専門的能力(伝送)より「有線伝送工学 > ケーブルの種類と構造」をまとめます。

平衡対ケーブル

  • 撚り対線の効果
    • 往復2本のケーブルを撚ったケーブル
    • 電磁誘導ノイズや静電誘導ノイズの影響を少なくしている
    • 10kHz以上の高周波、長距離ではノイズの影響が無視できない
    • 交換機と利用者宅までの加入者線、近距離で伝送容量が小さい交換局間で使用
  • 平衡対ケーブルの構成
    • 対撚り
    • 星型カッド撚り
      • 対撚りに比べて静電容量が小さいので伝送損失は小さい
      • ケーブル外形を1割小さくできるので経済的
      • カッド内の実回線相互間の漏話特性は劣る:収容制限が必要
      • カッド内実回線相互間の漏話特性を改善した物が公衆回線に使用されている
    • DMカッド撚り:撚り合わせた2本のケーブルをさらに撚り合わせた物
  • 伝送損失減少対策
    • 電気抵抗の減少
      • 電気抵抗の小さな良導体:金、銀、銅、アルミニウム(銅がコスト面と実用性から有利)
      • 導体を太くする(一般的には0.32mm〜0.9mmの導線)
    • 導体間静電容量の減少
      • 導体間隔を広げる
      • 絶縁体の誘電率を小さくする
        • 空気
        • 紙(クラフト紙)
        • プラスチック(ポリエチレン(PE))
        • 発砲ポリエチレン(PFE)
        • ポリ塩化ビニル(PVC)
      • 絶縁体に求められる特性
        • 絶縁抵抗 大
        • 誘電率
        • 機械強度 強
    • 自己インダクタンスの増加
      • 特性インピーダンス:Z = \sqrt{(R+j\omega L)/(G+j\omega C)}
      • 無ひずみ条件:R/L = G/C
      • 実際の伝送路:R/L >> G/C
      • 装荷線輪:コイルを入れてLを大きくする:ローパスフィルタとなるので高周波帯域が減衰する
    • 漏れコンダクタンスの減少
      • 心線間の相対位置関係を一定化させる
      • 紙絶縁よりプラスチック絶縁の方がカッド崩れが起こり難い

同軸ケーブル

  • 同軸ケーブルの効果
    • シールドがあるためノイズに強い
    • 漏話特性が良い
      • 外部導体の外側に漏れる電気力線や磁力線が非常に小さい
      • 高周波になるほど表皮効果と近接効果によって外部導体の外側に電流が流れにくい
    • TEMモード
    • 減衰量:周波数の平方根に比例
    • 外部導体径と中心導体径の比の最適値:3.59
  • 同軸ケーブルの構造
    • 中心導体(軟銅の単線)、絶縁体、外部媒体、銅テープ、絶縁紙
    1. 9.5mm標準同軸ケーブル:中心導体にPEの円盤を等間隔(〜30mm)に固定させたもの。PEディスクと空気層が絶縁体となる。
    2. 4.4mm細心同軸:PEディスクの代わりに突起付きのPEテープを縦方向に巻いたもの。
    3. 海底同軸ケーブル、局内配線用コード:内外導体間をPE充実形としたもの。
    4. 局内配線用コード:外部導体として銅テープを縦添えにし、周りを鉄テープで固定するが、この部分に導線の網組みを使用して曲げやすくしたもの。
  • 同軸ケーブルコア配列
    • ITU-T勧告に準じたケーブル
    • 海底同軸ケーブル以外は複数本の同軸心を集合して構成する
    • 上り、下り回線を一対とするので偶数本
    • 現在の最高は18心のケーブル
    • 複合ケーブル:平衡対ケーブルと同軸心ケーブルをまとめる
    • シンプルケーブル:同軸心だけをまとめる
  • 同軸心の減衰量
    • 抵抗減衰量:こっちが大きい
    • 漏れ減衰量

光ファイバケーブル

  • 特徴
    • 光ファイバにおける光伝搬
      • スネルの法則:sinθ_i/sinθ_t = cosφ_i/cosφ_t = n_2/n_1
      • クラッド:屈折率 小
      • コア:屈折率 大
    • 伝送損失
      • 分散による信号の高周波成分の減衰
      • 遅延に基づくパルスの広がり
    • 電磁誘導と漏話特性
      • 電磁誘導の影響は受けない
      • 光ファイバ内に光信号が閉じ込められているので漏話は発生しない
      • ガラスは電気を通さないので電力は送れない
    • 18心同軸ケーブルと比較
      • 断面積:1/10
      • 重量:1/30〜1/10
  • 光ファイバの分類
  • 光ファイバケーブルの製法
    • プリフォームの製造
      • 内付けCVD法
        • 低損失・高性能の屈折率分布:反応系が閉じているので不純物混入を避けられる
      • 外付けCVD法
        • 反応系が閉じていない
        • 量産性に優れる
        • 製品の寸法精度を上げやすい
      • VAD法
        • 反応系が閉じていない
        • 製造工程の連続性から最も量産性が良い
        • 屈折率分布制御は困難
    • 紡糸・線引き・コーティング
    • 二重るつぼ法
      • 連続紡糸が可能なので量産性に優れる
      • 低融点に出来るので加工しやすい
      • コアの大口径化が可能
      • 石英系に比べて伝送損失が大きい
    • ケーブル化
    • 各種製造方法の長所と短所
  • 光ファイバの心線構造
    • 一次被覆
      • 光ファイバ表面の傷の発生、ガラスとしてのもろさをカバーするために線引き時に施す
    • 緩衝層
      • 光損失の温度変化
      • 不均一側圧によるマイクロベンディング損失:側面からの圧力により数um程度曲がる現象
    • 二次被覆:光ファイバを物理的に保護する
  • 光ファイバケーブルの構造