相対論的量子力学

今日の4時限目は「物性物理学Ⅱ」に出ずに藤田先生のゼミナールに行ってきました。これは去年までは3年後期の授業として開講されていた「ゼミナールⅠ」と同内容の物です。今年は無かったのですが要望が有ったのでやっているとの事。藤田先生のご好意に感謝!!参加してるのは物理科3年生の数人。


講義の内容は主に相対論的量子力学の入門ですがかなり突っ込んだ所まで議論しているのでレベルはかなり高いです。式が与えられてこうすれば解けるとか言うのではなく、何がより根本的か?とか矛盾が起きるのは何故か?とか考えるとちょっと難しいけど
量子力学の講義や演習では余り解説されない所も議論していてとても興味深いものがあります。


このゼミに参加する物の教養として水素原子のエネルギースペクトルを書ける事だそうです。皆書けるのか?量子力学Ⅱまでの範囲は当然理解している必要があり相対論もある程度理解していたいですね。もうちょっと言うと量子力学の基本的な事を知っている事、基本的な系においてSchrödinger e.q.が解ける事、電磁気学をある程度勉強した(Maxwell e.q.がいじれる)、特殊相対論を勉強した事がある(テンソル解析の基礎を含む)、行列の計算は出来るよね?って事位でしょうか。


今回までの講義ではKlein-Gordon e.q.について、いくつかの問題点などの議論をしたようです。そしてDirac e.q.を解く過程で終わったようです。今回はこの続きですね。ここで出てきたいくつかのトピックは

  1. Dirac e.q.を解く際に出てきた \psi_{A} \psi_{B}の違いについて。パリティーが逆になる。
  2. HamiltonianとParity演算子は交換する。
  3. 演算子を変換する時は  \hat{P}\hat{H}\hat{P}=\hat{H}(-r)= \hat{H} のように左右から挟むのはユニタリー変換を考えれば当たり前でしょ。
  4. 時間反転に関して \sigma角運動量演算子Lは奇パリティ
  5.  \sigma角運動量演算子Lは擬ベクトル

などです。今回宿題にされたのは

  1. \hat{P}Y_{l m}(\theta,\varphi)=(-1)^{l}Y_{l m}(\theta,\varphi)を示せ。
  2. r=(x,y,z)として \hat{r}\propto Y_{1 m} を示せ。

それともう一つ。
箱の中の粒子に対するSchrödinger e.q.は
 \hat{H}u_{n}=E u_{n}
である。この時の解は
 u_{n}=L^{-1/2} e^{ikx}
で、周期的境界条件を課すと
 k=\frac{2\pi}{L}n (nは整数)
となる。この時
 \langle u_{n}\left|\hat{p}x-x\hat{p} \right| u_{m} \rangle =-i\delta_{n m}
を計算せよ。しかし単純に計算すると
 i\frac{2\pi}{L}(n-m)\langle u_{n}\left|x\right| u_{m} \rangle =-i\delta_{n m}
となるがこれは矛盾してしまう。それは何故か?


と、短い時間の割に内容は盛り沢山でした。来週までに出来んのか?(ちょっと無理っぽい。テキストは英語だし)