Jitter

ジッタと一口にいっても関連する用語がたくさんあり、初心者を悩ませる。Total Jitter、Random Jitter、Period Jitter、Cycle-to-Cycle Jitterなどだ。これらはいずれも周期(または周波数)の時間的な変動を表しているのだが、意味は様々である。

ジッタとは

コンセントを流れる電気の周波数は50Hz*1と言われるが実際には少しだけ早くなったり遅くなったりを繰り返している。横軸が周期、縦軸にその周期となる頻度を取ったグラフを考える。階級の間隔が十分に小さく連続と見なせる場合には密度曲線、離散的な場合にはヒストグラムと呼ぶ。この密度曲線の形状はJitterの原因によりさまざまだが、Random Jitterの場合にはGauss分布になる。ここで得られたデータの最大値と最小値の差をTotal Jitterと呼び、\pm 1\sigmaの範囲をRMS Jitterと呼ぶ。

ジッタの発生原因(Jitter Component)

ジッタを発生させる原因は様々であり、その原因ごとに特徴を持っている。この特徴をつかむ事で原因の推定が出来、対策をとる事が可能になる。

  • TJ:Total Jitter
    • DJ:Deterministic Jitter - 密度分布はそれぞれの原因の特徴を反映した形状になり、範囲は有限である。
      • PJ:Periodic Jitter - 周期性
        • SRJ:Sub Rate Jitter - データレートに関連した周期を持ったジッタ成分。分周や逓倍された基準クロックがデータレーンに干渉、またはMUXデバイスのパラレルレーンに揺らぎが有る場合に発生。
        • UPJ:uncorrelated PJ - データレートに無関係な周期を持ったジッタ成分。電源のスイッチングノイズがデータレーンに干渉する場合など。
      • DDJ:Data Dependent Jitter - データ依存
        • DCD:Duty Cycle Distortion - 閾値のオフセット、立ち上がり・立ち下がり時間が非対称
        • ISI:Inter Symbol Interference - 帯域不足と反射→立ち上がり・立ち下がり時間のばらつき
      • BUJ:Bounded Uncorrelated Jitter - RJ同様ランダム性を持つがp-p値を持つジッタ成分。パラレル伝送路にクロストークがある場合に発生。
    • RJ:Random Jitter - 密度分布はGauss分布になり、範囲は理論的には無限大になる。実際の測定では測定回数が多いほどRJ成分が大きくなる。そのため測定回数・外挿方法などを規程する必要がある。

ジッタの測定パラメータ

時間領域のジッタ測定パラメータには以下の4つがあり、何れも周期の揺らぎを表している。しかしそれぞれに測定している箇所が異なる。これらの値を相互に変換する事は基本的に出来ない為、データシートに記載されている数値がどれを表しているのか確認する必要がある。

  • Period Jitter:周期の最大値と最小値の差を表し、Total Jitter*2に一致する。上述した様にRJ成分がある為測定回数に依存する。
  • Cycle-to-Cycle Jitter:特定の周期と次の周期の時間差
  • N-Cycle Jitter:特定のN周期における周期の平均値
  • TIE(Time Interval Error):クロックあるいはCDR等で再生された理想クロックの変化点とデータの変化点の時間差

これらとは別に周波数領域での測定も重要になる場合がある。

*1:東日本の場合。西日本では60Hz

*2:p-p Jitterと同義に使われる事が多い